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コンタクトセンター構築の完全ガイド【手順・費用を徹底解説】

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コンタクトセンター構築の完全ガイド【手順・費用を徹底解説】

顧客対応の品質が企業評価を左右する現代において、コンタクトセンターの構築はもはや一部の大企業だけの取り組みではありません。中小企業や自治体でもカスタマーサポートの強化や業務効率化、さらには売上向上のために、自社に合ったコンタクトセンターの設計が求められています。

しかし実際には、「どこから着手すべきか分からない」「必要なシステムや人材は?」「内製と外注、どちらが最適か判断できない」といった悩みを抱える企業も少なくありません。構築の手順や費用感が把握できず、計画が進まないケースも多く見られます。

本記事では、そうしたお悩みを解決するために、コンタクトセンター構築の全体像を網羅的に解説します。構築前の準備からシステム選定、人材育成、運用設計、さらに失敗しないためのポイントまで、実践的な視点で整理しました。

自社で構築する場合にも、外部委託を検討する場合にも役立つ内容です。最適なコンタクトセンターを設計し、顧客満足度と業務効率を同時に高める第一歩として、ぜひご一読ください。

目次

コンタクトセンターとは

企業と顧客をつなぐ窓口として機能する「コンタクトセンター」は、電話対応に限らず、メール、チャット、SNSなど様々な手段からの問い合わせを一括で管理して行う窓口のことです。商品に関する問い合わせやクレーム対応、購入サポートなど、幅広い顧客接点を担い、企業のブランド価値や顧客満足度に直結する重要な役割を果たします。

項目コールセンターコンタクトセンター
手段(チャネル)電話のみ電話、メール、チャット、SNSなど複数
管理方法電話履歴のみ管理様々な連絡手段を一括して管理
目的顧客対応の効率化、コスト削減顧客満足度向上、顧客体験の最適化
業務範囲受電・発信中心問い合わせ、営業、サポート、フォローなど多岐

※コールセンターとの違いや具体的な業務内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
コンタクトセンターとは?コールセンターとの違いから最新機能まで徹底解説」も併せてご覧ください。

コンタクトセンターの構築前に明確にすべき「目的」と「ゴール」

コンタクトセンターを構築する際、最初に取り組むべきは「目的」と「ゴール(成果指標)」の明確化です。ここを曖昧にしたまま進めてしまうと、システム選定や人員配置、対応チャネルの選定など、すべての判断軸がぶれ、結果的に「何のためのセンターなのか分からない」状態に陥りかねません。

目的設定の重要性

目的は「なぜ今コンタクトセンターを立ち上げるのか」という問いへの答えです。例えば、次のような課題認識に基づいて設定されることが多いです。

  • 顧客からの問い合わせ対応を一本化したい
  • 商品やサービスに関するサポート品質を向上させたい
  • 苦情対応の属人化を防ぎ、対応スピードを改善したい
  • 見込み客へのアウトバウンド施策を効率化したい

ここで重要なのは、「業務プロセスの効率化」だけでなく、「顧客体験(CX)」の改善を目的に含める視点です。対応スピードや正確性といった基本性能はもちろん、「ストレスなくつながる」「適切な対応が受けられる」ことが、企業への信頼獲得に直結します。

KPIと評価指標の設計

目的を定めたら、次にそれを数値で検証できる形に落とし込む必要があります。これが「ゴール(KPI)」の設定です。たとえば以下のような指標が検討対象となります。

  • 応答率(一定時間内に対応できた割合)
  • 平均処理時間(AHT)
  • 初回対応完了率(FCR)
  • 顧客満足度(CSAT)
  • NPS(ネット・プロモーター・スコア)
  • オペレーター稼働率・離職率

KPIは単に“見える化”するだけでなく、設計段階から「組織の運用モデル」と連動させて設計する必要があります。たとえば、アウトソーシングを検討している場合は、委託先でもKPIを共通理解として運用できるような粒度にすることが肝心です。

顧客体験(CX)向上との関係

近年、BPOの世界でも「業務効率」だけでなく「顧客体験の質(CX)」が重視されています。特にコンタクトセンターは、顧客と直接やり取りをする「企業の顔」として機能するため、対応品質はCX全体に直結します。目的やKPIを設計する際には、単に“社内の業務効率”だけを見るのではなく、「顧客がスムーズに、安心して相談できる環境が整っているか」という視点も加えることが必要です。

コンタクトセンター構築の全体フロー

コンタクトセンターの構築は、単に席や電話機を用意すれば成り立つものではありません。目的に応じた設計と多部署との連携、段階的な構築プロセスが不可欠です。ここでは、コンタクトセンターをゼロから立ち上げるための4ステップを、実務に基づいて解説します。

ステップ1:戦略・方針の決定

最初に行うべきは「コンタクトセンターの目的」と「対応範囲」の明確化です。

たとえば、既存顧客の満足度向上を目指すのか、新規見込み客へのアプローチを行うのかによって、求められる人材や運用体制は大きく変わります。 具体的には、以下のような方針を設定します。

  • インバウンドかアウトバウンドか
  • 顧客対応の範囲(購入前/後、サポート/苦情受付など)
  • 対応チャネル(電話、メール、チャット、SNSなど)
  • 自社運営 or 外注 or ハイブリッド構成

これらの方針が曖昧なままシステムや人材配置を進めると、後々大きな修正が必要になる可能性があるため、最初の設計が極めて重要です。

ステップ2:業務内容・プロセス設計

次に必要なのは、実際の業務フローとその処理プロセスを可視化することです。

どのような問い合わせに、誰が、どのようなルールで対応するかを定義します。 具体的には以下の内容を整備します。

  • 業務カテゴリ別のフロー図(例:注文・返品・苦情など)
  • 他部署との連携ルート(例:技術部門、営業、出荷など)
  • エスカレーションルールの設定
  • 応対時間や処理基準(SLA)

この段階で業務範囲を曖昧にすると、「どこまで対応すべきか」がオペレーターごとに異なり、品質のばらつきやトラブルの元になります。

ステップ3:システム・設備導入

務設計に合わせて、必要なITインフラと物理的な設備を整備します。

電話システム(PBX)、オペレーター画面(CTI)、顧客情報管理(CRM)などが中心となります。 システム選定の際には以下を考慮する必要があります。

  • クラウド型かオンプレミス型か
  • オムニチャネル対応の可否
  • 音声録音、通話ログの保存要件
  • セキュリティ(VPN、アクセス制御、Pマーク等)

システム導入は一度決めると変更にコストがかかるため、センターの規模や将来的な拡張性も視野に入れて慎重に進める必要があります。

ステップ4:人材の確保・育成

システムと業務設計が整ったら、実際に業務を担う人材の採用と育成を行います。

  • オペレーターの採用計画(必要人数、スキル条件)
  • マニュアルとトークスクリプトの整備
  • 教育研修プログラムの設計
  • 評価制度とキャリアパスの設計

特に近年は人材確保が難しくなっており、採用と同時に「長期的に定着して働いてもらう仕組み」も重要です。リーダー育成やインセンティブ制度なども含めた“職場設計”が求められます。 以上の4ステップを踏むことで、属人的な場当たり運用ではなく、再現性と安定性のあるコンタクトセンターを構築することが可能になります。

導入に必要なシステム・設備

コンタクトセンターを安定して運用するためには、業務内容に適したシステムと設備の選定が欠かせません。通信インフラや顧客対応ツール、情報管理システムの整備状況が、そのまま業務効率と顧客満足度に直結します。ここでは、センター構築時に必要となる主なシステム・設備を解説します。

PBX・CTI・CRMとは?

まず中心となるのが、以下の3つのシステムです。

  • PBX(構内交換機)
    顧客からの電話をセンター内の各オペレーターに振り分ける機器。着信制御や内線通話、発着信の管理を担います。最近はクラウドPBXが主流になりつつあります。
  • CTI(Computer Telephony Integration)
    電話とコンピューターを連携させ、着信時に顧客情報を自動表示するなどの機能を実現します。オペレーターが即時に対応でき、対応品質と時間の短縮に寄与します。
  • CRM(Customer Relationship Management)
    顧客情報の蓄積・管理を行うシステム。履歴をもとにした対応や、次回接点の戦略設計などに活用されます。

この3つを中心に連携させることで、効率的かつ一貫した顧客対応を可能にします。

オンプレミス型とクラウド型の違い

システム導入時には「オンプレミス型」と「クラウド型」のどちらを選ぶかも重要です。

  • オンプレミス型
    自社サーバー上に構築し、自由度が高い反面、初期費用・保守コストが大きくなります。金融・行政など、高度なセキュリティ要件を持つ業界に向いています。
  • クラウド型
    ベンダーの提供する環境を利用する方式。初期コストが抑えられ、スピーディに導入できるため、最近の主流となっています。拠点分散・在宅オペレーションにも柔軟に対応可能です。

拡張性やセキュリティ要件、運用リソースをふまえ、事業フェーズに合った選択を行うことが求められます。

セキュリティ対策のポイント

顧客の個人情報を扱うコンタ-クとセンターでは、物理的・システム的・人的な側面からの総合的なセキュリティ対策が必須です。

ISO27001やプライバシーマークといった第三者認証の取得は、その信頼性を客観的に示します。これらの対策は、将来の拡張性も考慮した「顧客満足の基盤」を構築するための重要な投資と捉えるべきです。

人材採用と育成の進め方

どれだけ優れたシステムを導入しても、それを運用する「人」の力がなければ、コンタクトセンターは機能しません。業務品質や顧客満足度を左右するのは、現場で対応するオペレーターと管理者です。ここでは、採用から育成までのポイントを解説します。

オペレーターとSVの役割

コンタクトセンターの現場は、大きく分けて2つの重要な役割、オペレータースーパーバイザー(SV)によって構成されています
まず、顧客対応の最前線に立つのがオペレーターです。彼らは企業の顔として、商品説明、各種手続きの受付、技術的なサポート、時にはクレームへの対応など、多様な顧客とのコミュニケーションを直接担います。

そして、そのオペレーターたちをまとめ、現場全体を統括するのがスーパーバイザー(SV)です。SVは、オペレーター一人ひとりへの業務指導や育成、応対品質のモニタリング、目標達成に向けた数値管理、さらにはシフト作成といった中間管理職としての役割を担います。

しかし、SVの真価は単なる管理業務に留まりません。現場で発生する様々な問題に対する意思決定者であり、チーム全体のモチベーションを高めて成果を最大化する、いわば「現場の司令塔」です。そのため、SVには優れたリーダーシップと円滑なコミュニケーション能力が不可欠なポジションと言えるでしょう。

マニュアル・トークスクリプトの整備

人材を採用するだけでは不十分で、「標準化」された業務設計が必要です。これにより誰が対応しても一定水準の品質が担保されます。 具体的には以下のような資料を用意します。

  • 対応マニュアル(業務フロー、FAQ)
  • チャネル別トークスクリプト(電話・メール・チャットなど)
  • エスカレーションルール(対応困難時の判断基準)
  • システム操作マニュアル

これらのドキュメントは構築時に一度作成して終わりではなく、現場の声を反映しながら定期的にアップデートすることが大切です。

教育・研修で意識すべき点

教育研修では知識習得だけでなく「対応力」の強化が重要です。顧客対応は多様なケースがあり、マニュアルだけでは対応しきれない場面も多いためです。 主な研修施策には以下のようなものがあります。

  • 商品・サービス研修(基礎知識の習得)
  • 応対品質研修(話し方、傾聴、クレーム対応など)
  • ロールプレイによる実践訓練
  • 応答ログを使ったフィードバック指導

また、定着率向上には「評価制度」や「キャリアパス設計」も欠かせません。将来的にSVや教育担当へステップアップできる環境があることで、人材のモチベーション維持にもつながります。 人材戦略はコンタクトセンターの「運用力」を支える基盤です。採用・育成・評価を一貫して設計することが、安定した品質と継続的改善を実現する鍵となります。

コンタクトセンター構築にかかる費用と期間

コンタクトセンターの構築を検討する際、多くの企業が最初に把握しておきたいのが「どれくらいのコストがかかるのか」「準備から稼働までにどれほどの期間が必要か」といった点です。この章では、費用の内訳とスケジュールの目安を実務的な視点から解説します。

コンタクトセンターの構築時にかかる「初期費用」の主な内訳

初期費用は、センターを稼働させるために最初に必要となる投資です。特に自社でセンターを立ち上げる「内製」の場合、多岐にわたる準備が必要となり、対応チャネルの数に比例してシステムが複雑化する傾向があります。

コンタクトセンターの構築・運用費用の目安(1席あたりの内製・外注の比較表)

内製する場合と、専門の会社に委託する外注(BPO/アウトソーシング)とでは、1席あたりのコスト構造が大きく異なります。以下に、1席あたりの構築・運用を想定した費用の目安と内訳をまとめました。

費用項目費用の目安(1席あたり)主な内訳
【内製】初期費用数万円~数百万円以上
(小規模ほど1席あたりの負担は割高に)
システム導入費(基本料金+ライセンス料)
ハードウェア費(PC, ヘッドセット等)
オフィス関連費(1席分のスペース確保)
採用・研修費(1名分)
【外注】初期費用0円~50万円程度導入支援費(業務設計、マニュアル作成、セットアップ費など)
※1席からでも契約可能な場合が多い
【内製】月額運用コスト40万円~60万円程度人件費(オペレーター1名+管理コスト按分)
システム利用料
通信費
オフィス賃料、光熱費の按分
【外注】月額運用コスト30万円~
(料金体系により変動)
【料金体系の例】
月額固定(席単価)型: 1席30万円~
従量課金型:
 - 電話1件:600円~
 - メール/チャット1件:500円~
成果報酬型: 1アポ15,000円~

初期費用:小規模ほど「外注」のメリットが際立つ

1席という小規模で比較すると、初期費用は外注が圧倒的に有利です。外注ベンダーは、すでにプロ仕様のシステムや設備を保有しているため、企業側は「導入支援費」のみ、あるいは無料でコンタクトセンターを立ち上げることが可能です。1席からでも低リスクでスピーディーに専門家の環境を利用できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。

一方、内製で1席だけを構築する場合、1席あたりの初期費用は非常に割高になる傾向があります。例えば、オンプレミス型のシステム導入やオフィス契約には、規模にかかわらず一定の固定費がかかるためです。クラウド型システムの利用や、既存オフィス内での在宅勤務導入などで費用を抑えることは可能ですが、それでもPC購入や採用・研修にはコストがかかります。

月額運用コスト:「見えないコスト」が含まれる内製、「オールインワン」の外注

月額の運用コストを1席あたりで見ると、両者の価格に含まれる内容の違いが重要になります。

内製の場合、1席あたり月額40万円~60万円という費用には、オペレーター本人の給与だけでなく、管理者(SV)の人件費、オフィス賃料、システムの減価償却費や利用料などが按分されて上乗せされています。これらは「見えないコスト」となりがちで、単純なオペレーターの給与だけを考えていると、実際の運用コストとのギャップに驚くことになります。

対して外注の「月額固定型」で1席30万円~という価格は、オペレーターの人件費はもちろん、管理コスト、システム利用料、設備費など、運用に必要な経費がすべて含まれたオールインワンのパッケージ料金です。コスト管理が非常にシンプルで、予算計画を立てやすいのが特徴です。また、問い合わせ件数に応じて費用を最適化したい場合は「従量課金型」を選ぶなど、業務内容に合わせて柔軟にコストを変動させられるのも外注ならではの強みです。

構築から稼働までの期間

センターの立ち上げには、複数工程を順に踏む必要があり、スムーズに進めても2~4カ月程度が一般的です。以下は基本的な進行フローです。

フェーズ所要期間内容例
要件定義2~3週間目的・対応範囲・KPIの設計
システム・設備選定3~4週間ベンダー選定・契約・設計
導入・環境整備3~5週間通信インフラ・機器設置・システム設定
採用・研修4~6週間人材確保、オペレーション教育
テスト運用1~2週間デモ実施・最終調整

状況に応じて前後しますが、あらかじめ工程ごとの所要時間を見積もっておくことで、無理のないスケジュール設計が可能になります。

費用や期間を過不足なく見積もることは、構築の可否を判断する出発点になります。また、外注を検討する場合にも、これらの基準をもとに委託先の見積もり内容を比較することができるため、計画段階での検討を丁寧に行うことが望まれます。

内製と外注、どちらを選ぶべきか

コンタクトセンターの構築にあたって、多くの企業が迷うのが「自社で運営(内製)するべきか、それとも外部委託(外注)するべきか」という選択です。いずれにも明確なメリットとデメリットがあり、自社の事業戦略、予算、リソース状況によって判断は異なります。

ここでは、それぞれの特徴を整理し、選定時の考慮ポイントを解説します。

内製のメリット・デメリット

自社でコンタクトセンターを直接管理・運営する形態です。「顧客接点を自社の資産」と捉え、長期的な視点で品質やノウハウを重視する企業に向いています。

【内製のメリット】

  • 高い対応品質とサービスへの深い理解
    自社製品やサービス、企業理念への理解が深いスタッフが直接対応するため、マニュアルにない複雑な問い合わせにも質の高い応対が期待できます。ブランドイメージを体現した一貫性のある顧客体験を提供しやすくなります。
  • 顧客の声(VOC)の迅速な活用
    顧客からの意見やクレームといった「生の声」が、ダイレクトかつスピーディーに開発やマーケティングなどの関連部署へフィードバックされます。これにより、サービス改善や商品開発のサイクルを高速化できます。
  • 万全なセキュリティと情報管理
    顧客情報や機密情報を外部に持ち出すことなく、自社の厳格なセキュリティポリシーの下で完全に管理できます。情報漏洩リスクを最小限に抑えたい場合に最適です。

【内製のデメリット】

  • コストが高額になる傾向(固定費の負担)
    システム導入の初期費用に加え、人件費、オフィス賃料、設備維持費など全てのコストを自社で負担します。特に小〜中規模の場合、月々の固定費の負担が重く、外注より割高になることが一般的です。
  • 人材確保とマネジメントの負荷
    専門スキルを持つオペレーターや管理者の採用、定着、育成には多大な労力がかかります。勤怠管理やモチベーション維持など、継続的なマネジメント負荷が大きい点も課題です。
  • 導入・安定稼働までに時間がかかる
    システムの選定・構築から人材採用・研修まで、運用を開始するまでに数ヶ月単位の時間がかかります。安定した品質で稼働できるようになるまでには、相応のノウハウと試行錯誤が求められます。

外注のメリット・デメリット

コンタクトセンター業務を専門の外部業者(BPOベンダー)に委託する形態です。スピード感やコスト効率を重視し、自社のリソースを中核業務に集中させたい企業に向いています。

【外注のメリット】

  • コストの最適化と変動費化
    高額な初期投資が不要で、月額費用も業務量に応じた「従量課金」や席単位の「月額固定」など柔軟な料金体系を選べます。これによりコストを固定費から変動費に変え、繁閑差に合わせて最適化できます。
  • 導入スピードとリソースの有効活用
    専門的な人材や設備がすでに整っているため、最短数日〜数週間で高品質なセンターを立ち上げられます。採用や教育にかかる手間を削減し、自社は本来注力すべき中核業務にリソースを集中させることが可能です。
  • 安定した品質と高い拡張性
    専門ベンダーが持つ豊富な経験とノウハウに基づいた、安定した品質のサービスを受けられます。また、事業の成長や繁忙期に合わせて、席数や対応時間を迅速に増減させるなど、柔軟な拡張が可能です。

【外注のデメリット】

  • 顧客の声(VOC)の活用に工夫が必要
    顧客との距離が物理的に遠くなるため、顧客の生の声を直接聞く機会が減少しがちです。サービス改善に繋がる貴重なフィードバックを収集・活用するためには、密な情報共有や定期的なレポート会議などの工夫が不可欠です。
  • 情報漏洩のセキュリティリスク
    大切な顧客情報を外部に預けることになるため、情報漏洩のリスクが伴います。委託先の選定時には、プライバシーマークやISMS認証の取得状況など、セキュリティ体制を厳しくチェックする必要があります。
  • 柔軟な対応やカスタマイズの制約
    契約範囲外の業務や急な仕様変更には対応しにくい場合があります。自社の思い通りに細かく運用をコントロールすることが難しく、ブランドイメージの完全な統一には限界があることも考慮すべき点です。

選定判断の基準

以下のような項目を基準に、どちらが自社に適しているかを整理することが重要です。

検討軸内製が適するケース外注が適するケース
スピード時間をかけてでも自社内に構築したいできるだけ早く立ち上げたい
品質管理顧客対応を細かく管理したい委託先に管理を任せたい
ノウハウ自社でナレッジを蓄積したい運用は専門業者に任せたい
リソース人材・ITリソースが豊富社内に十分な人手や技術者がいない

また、近年では「コア業務は自社で、その他は外注」といったハイブリッド型の運営も増えています。これにより柔軟性と品質のバランスを両立できる可能性があります。 

構築方式の選定は、単なる「コスト」の比較ではなく、「継続的な運用体制をいかに整えるか」という観点で判断することが、長期的な成功につながります。

よくある失敗例とその回避法

コンタクトセンターの構築は、多くの工程と判断を要するプロジェクトです。十分な準備をしていても、想定外の問題が生じることは珍しくありません。ここでは、実務でよく見られる失敗パターンと、その対策を解説します。

人材確保の見通しが甘い

「採用はすぐに進むだろう」と楽観的に考えた結果、オープン時に人員が揃わず、対応件数に対して常に人手不足という状況に陥るケースがあります。

対策:募集開始から着任までのリードタイムを十分に確保し、複数チャネルでの採用活動を同時展開する。また、想定よりも少し多めの人数を採用し、稼働後に調整する余地を持たせると安心です。

業務範囲が曖昧なままスタート

「とりあえず始めてから詳細を詰めよう」という考えで進めると、オペレーターの判断にばらつきが生じ、クレームや対応遅延が頻発します。

対策:立ち上げ前に、問い合わせ内容のカテゴリ分け、対応可能範囲、エスカレーションルールを具体的に定義しておくことが不可欠です。文書化し、全スタッフに共有することで運用の軸がぶれにくくなります。

システム選定の失敗

導入後に「チャネル追加に対応できなかった」「操作が複雑で現場が使いこなせない」といった問題が発生し、結局システムを再選定するはめになる事例もあります。

対策:システムは機能の多さではなく、「実際の業務フローに適しているか」で選定することが重要です。現場の意見をヒアリングした上で、操作性・拡張性・サポート体制を評価基準に含めましょう。

これらの失敗は、いずれも初期設計と意思決定の段階で回避できるものです。構築プロセスを属人的に進めず、プロジェクトとして一貫した基準と体制を整えることが、安定稼働への近道になります。

まとめ:成功の鍵は「設計」と「パートナー選び」

コンタクトセンターの構築は、単なる業務の外部化や窓口設置ではありません。顧客体験の質、業務の効率、企業全体の信頼性に関わる重要な取り組みです。成功するかどうかは、初期段階での「目的設計」と「運用設計」がどれだけ現実に即しているかにかかっています。

加えて、限られた社内リソースで運営する場合には、外部パートナーの力を借りることも一つの有効な選択肢です。実績とノウハウを持つ委託先を選ぶことで、構築や立ち上げの負担を軽減しつつ、品質を保った対応が可能になります。

特に、柔軟な支援体制と幅広い対応力を持つ企業と連携することで、確実かつスムーズな立ち上げが実現できます。自社の目的に合った構築方法を選び、持続的な運用を目指すことが長期的な成果につながるでしょう。

東京ソフトBPOのコンタクトセンター構築・運営支援

東京ソフトBPOでは、業務委託型のコンタクトセンターサービスを通じて、企業の問い合わせ対応や受注処理、情報提供業務を一括でサポートしています。

電話・FAX・メールなど、複数チャネルを活用し、インバウンド・アウトバウンドの両面から構築・運営支援が可能です。

柔軟な業務対応と一貫支援

サービスは、カスタマーサポートやヘルプデスクといった一般的な問い合わせ対応に加え、以下のような業務にも対応しています。

  • 受注代行・受注前後業務(発送・配車の手配等含む)
  • 満足度調査・アンケートの実施と集計支援
  • 商品説明・新規顧客開拓などのアウトバウンド業務
  • システム操作案内などの技術的ヘルプデスク

チェックリスト活用や業務フローの自動化によって、属人化しやすい業務でも品質を安定させる仕組みが整っています。

多様な業種・用途での実績

官公庁や民間企業向けに多数の構築実績があります。具体例としては、以下のような案件に対応しています。

  • 給付金制度に関する問い合わせ対応(自治体・国対応)
  • 自動車検査予約、電子申請などのシステム操作案内
  • 出版社やメーカーの商品受注業務
  • office365切替時の操作支援、ITヘルプデスク

こうした豊富な実績から、業種や目的に応じた最適な対応体制を提案することが可能です。

スモールスタートにも対応

1席あたり月額30万円〜のプランから提供しており、少人数・短期間の運用にも柔軟に対応しています。初期構築の手間や人材採用の負担を抑えつつ、品質を確保したい企業様は、東京ソフトBPOのコンタクトセンターサービスをご検討ください。当社は、お客様のニーズに合わせた電話対応業務を代行し、業務負担の軽減と対応品質の安定化をサポートいたします。商品やサービスの問い合わせ対応、受注業務、アフターサポートなど、幅広い対応内容に柔軟にお応えいたします。

小規模な運用から始めたい企業様にも対応可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。

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